国防消息第93号
▲所属:労働党作戦部313(元山)連絡所
●潜水艇内から回収した束草−休戦線一帯の地図下端及び歌謡テープ(北朝鮮製)下端に「313連絡所」の表示確認
●回収された装備中、四角手榴弾4個、チェコ製機関拳銃4挺等は、労働党系工作員の携帯装備
●短波TR送信機、多鍵式電鍵等の通信装備の特性が労働党作戦部連絡所用と確認
労働党工作員の一般的任務 |
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●無人函(ドゥボーク)設置及び発掘、回収
●南派間諜帯同復帰又は帯同浸透 ●浸透路開拓 |
▲無人函埋設又は発掘回収
●95年10月に検挙された金ドンシクの陳述の「水山里」無人函1ヶ所設置等、無人函設置適合地域
●鹵獲品中、背嚢の中から使用した痕跡のある「シャベル」回収
●鹵獲品中、無人函から回収される品目(状況報告文件、贈り物等)が発見
※従って、今回の潜水艇浸透任務は、無人函設置と判断される。
▲南派間諜帯同復帰
●南派間諜1〜2名を帯同浸透させれば、潜水艇の離脱と復帰人員数が異なる。
●しかし、今回は潜水艇の離脱と復帰人員数が3名と同一である。
![]() | 作戦日誌に工作員3名離脱/復帰の根拠記録確認 |
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自爆した乗船人員9名、2名から砂検出 |
![]() | 回収した水中浸透用酸素空気吸入器3個から使用の痕跡発見 |
●護送工作員が海岸浸透時使用する装備未発見
●乱数表が未開封状態で潜水艇内。識別は間諜浸透任務ではないと評価
●従って、海岸線に到着した3名全員が潜水艇に復帰し、現在まで南派間諜浸透のための装備を未発見等、南派間諜の海岸浸透を裏付けるだけの証拠がない。
▲浸透路開拓
●鹵獲品中、偵察装備(カメラ、暗視鏡、双眼鏡等)皆無で可能性はない。
▲危険負担として固定間諜接線は行われず、通信指令及び無人函を利用指示
浸透人員の判断
▲回収した戦闘員名簿に9名確認
▲潜水艇内から自爆した死体9体を発見
▲回収した鹵獲品中、食器9個確認等により乗船人員は、9名と判断(乗組員6名、工作員3名)
海岸浸透の有無の判断
▲作戦日誌に22日0003任務遂行、0038対岸(海岸線)離脱記録確認
作戦日誌主要内容 | |
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20日1830 | 黄土島出航 |
21日0200 | 展開地点出発(A) |
0630 | 第1変針点通過(B) |
1820 | 第2変針点通過(C) |
1900 | 下船地1海里線地点到着(D) |
2030 | 下船地到着(距離1,500m、水深26m) |
2045 | 脱出準備(呼吸器故障により交替) |
2133 | 気象(北東の風、波高1m、混乱) |
2210 | 狙撃手出発 |
2337 | 対岸到着 |
22日0003 | 任務遂行 |
0038 | 対岸離脱 |
●狙撃手(工作員)3名が下船したが、3名が再び復帰
●死体2体中、1体は下着の中に少量の砂検出(保管中)、1体は装備のチョッキの前のポケットに拳1つ分の分量の砂検出
●指揮塔内から回収した2個1組、酸素筒の空気量が1/2程度の消耗確認
※上記4つの状況から見て、上陸組が海岸に浸透したものと分析
主要疑問点の分析
▲潜水艇乗組員集団自殺の経緯及び時点
●集団自殺の経緯
![]() | 我が軍の艦艇に包囲(1710)され、これ以上逃避が不可能と判断、「南韓捜査機関に捕まれば、情報を全て抜き出して処断する」という自爆精神洗脳教育
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![]() | 自爆方法は、狙撃手及び組長4名が手榴弾とAK小銃及びチェコ製機関拳銃で乗組員5名を殺害した後、チェコ製機関拳銃を利用、自爆と推定 |
●集団自殺の時点
![]() | 潜水艇発見時間:22日1620 |
![]() | 漁夫の未詳人員3名目撃時間:22日1632 |
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我が艦艇及びヘリ到着時間:1715 |
![]() | 潜水艇内部捜索時、銃撃により死亡した死体9体が全員潜水艇後尾に絡まっている状態で、潜水艇が80度に傾くときに後尾に集まったものと評価 |
![]() | 作戦日誌に22日1600以後、記録がない。 |
![]() |
従って、自爆及び自殺時点は、3名目撃時間と潜水艇が80度に傾いた時間帯の間の1632〜1715と推定される。 |
▲ロッテ『サクサク』ペットボトル
ペットボトルの商標(材質・ビニール)の色相が退色しており、生産日時も過ぎており、ボトルにピーチ・ジュースではなく水が少し入っていたことを見ると、22日の浸透当時に獲得したものではなく、相当期間前のものと判断される。
▲潜水艇帰還中長時間待機の理由
●工作員浸透時は、単一任務を付与して、任務失敗時は復帰するのを原則とし、任務遂行後復帰中であった潜水艇が22日0310〜0400まで待機したのは、潜水艇の故障発生のためである。
●作戦手帳記録には、
![]() | 22日0310以後、乗務員が「呼吸が混乱して蛍光灯が黄色く見える」と言及 |
![]() | ××2台故障、炭酸ガス漏出、機器交替等を記録 |
●しかし、「1400頃、××関係によりこれ以上潜伏できず、復帰する」と報告した直後に出発
●無理な出発により最短公海上で離脱指導し、11.5海里地点に至り公海上と判断したが、これ以上潜航航海が不可能で、浮上航海を指導したが、U字網に掛かったものと判断
北朝鮮の「機関故障」漂流主張の矛盾
※98年6月28日、北朝鮮は、今回の潜水艇浸透と関連して、平壌放送を通して北朝鮮の高城近海において、「訓練中の事故による漂流」と主張したのは虚偽
▲襄陽郡水山里地域に浸透したことが確認されたことにより、論争不必要
▲航海中の潜水艇が事故等による漂流時、国際遭難規定により一定の措置(国旗掲揚、隣接国に緊急救助要請)を採らなければならないが、そのような措置が無い。
▲98年6月22日頃申告した潜水艇は、発見当時南側から東北方向に網を引いて継続移動中である事実を目撃した。
▲乗組員3名が潜水艇船体から漁網の除去を行い、救助要請無く潜水し、通常に東北方向へ移動していた。
浸透した潜水艇事件の特徴
▲96年8月のサンオ級潜水艦の最初の浸透に引き続き、ユーゴ級潜水艇の浸透発見は初めてであり、労働党工作員の潜水艇利用浸透も最初と確認
※労働党工作組の浸透は、現在まで工作母船を利用
▲我が軍の監視装備の捕捉を避けるため、FRP材質による外部船体上部の舗装と斑点色で偽装
※FRP(Fiber Rein Plastic):特殊プラスチック材質
▲潜水艇の脆弱点である騒音及び低速を補完するため5翼のスクリューを付着
▲有事の際の潜水艇爆破用TNT2筒(40kg)積載
※拿捕当時、爆破を指導したが、失敗
▲携帯装備中、RPG-7×2門、M61チェコ製機関拳銃×4挺、AK68小銃等の武器所持
潜水艇発見の経緯
束草船籍統一号船長金インヨン氏が、束草東南方11.5海里の領海上においてサンマ操業中、操業場所から20m離れた地点で潜水艇の指揮塔が漁網に掛かっているのを見て申告したことにより発見された。
潜水艇外部において漁網を除去する3名を目撃して、潜水艇が北東方向へ低速航行後、船尾が傾いた状態で停止するまでが確認された。
申告を受けた我が海軍の艦隊司令部からは、即刻対潜ヘリを出動させ、偵察を実施しつつ、対潜ヘリが現場に到着した当時、北朝鮮軍潜水艇の状態は、既に船体が45度位傾いた状態であり、潜水艇指揮塔を含む船体の2/3が水中に沈んだ状態で、偵察の結果、北朝鮮軍包囲のために到着した早警艦も現場に到着し、確認した結果、潜水艇の船首は徐々に傾き、約80度程度傾いた状態で艦首部分には、漁網が掛かっているのを確認し、時間の経過と共に潜水艇は、不安定な状態により沈没が憂慮された。
曳航作戦実施過程
今回の潜水艇救助作戦は、我が海軍が昨年に戦力化した潜水艦救助艦により潜水艇を引き揚げた最初の作戦である。
潜水艦遭難時には、潜水艦救助艦により実施するのが原則だが、引き上げ当時、潜水艦救助艦は、鎮海に停泊中であり、事故現場まで到着するのに14時間以上が必要とされることにより、救助艦による救助が無理で、現場にいる早警艦により緊急曳航作戦が実施された。
発見現場で即刻救助作戦を実施できなかった背景
第1に、最も大きな理由は、潜水艇が発見された場所は、水深が1,000mを超えるところであり、潜水艇の状態は、傾斜がひどく沈没直前にあったためで、迅速にその地点を離脱しなければならない状況であった。
第2の理由は、当時乗組員を救助するためには、出入口を開放しなければならないが、出入口を中から閉めれば、水中では、水圧のために開放することができず、潜水艇内部の人員が投降しない場合、水中での人命救助作戦は不可能である。しかし海軍では、水中特攻隊を投入し、船体外部の損傷が無いことを確認して、ハンマーで船体外部を叩く等、投降を勧誘したが、反応はなかった。
第3の理由は、潜水艇が発見された地点は、脆弱な海域であり、さらに別の北朝鮮の潜水艇の有無を確認できない状態で、長時間露出すれば、北朝鮮軍の挑発を受けるかもしれないという現場指揮官の判断が作用し、最後に救助のために迅速に出動した戦闘艦には、潜水士と救助装備が無く、潜水艇の水中状態を確認することができず、救助が不可能であった。
東海港に目的地変更の理由
曳航当時、潜水艇は、船体の4/5程度が水に沈んで80度まで急激に傾く等、潜水艇沈没の憂慮と敵の追加挑発に備え、最短距離に位置するキサムン港に曳航することに決定したが、キサムンに曳航中、潜水艇の状態が安定的に回復するや、広い海域と救助支援装備支援、潜水艦救助艦の到着時間短縮等の救助作戦の要件が良好な東海港に計画を変更した。
曳航中潜水艇沈没の原因
北朝鮮の潜水艇が傾いた状態で長期間の曳航後、東海港入港のため、曳航船を転換する過程において潜水艇が一時停止により前進速力が無くなったことにより、浮力が弱まり沈没し、潜水艇と曳航船2隻に連結されたロープ中1本は、潜水艇引き揚げを準備するため、潜水士がロープを解いた。
引き揚げ作戦
潜水艇沈没位置の水深は、33mで救助艦に保有する引き揚げ空気袋を利用、潜水艇を水面上まで浮上させ、東海港まで曳航した。
24日、潜水艇に空気袋を連結するため、作業を遂行する間、潜水士の水中作業時間の制限、ワイヤロープの重量過多により、予想より作業が遅延したが、夜間まで作業を強行し、結束作業を完了した。
25日、空気袋4個を連結した後、潜水艇を浮上させ、曳航船により東海港防波堤までパージで曳航、係留させることにより曳航及び引き揚げ作戦は、25日1650に終了した。
最終更新日:2004/03/19
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